アコムに対する過払い請求の注意点

アコムは、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの子会社である、大手消費者金融業者です。銀行の傘下にあるため、経営は比較的安定している模様です。したがって、過払い金の返還も比較的スムーズに行われます。しかし、案件により、交渉が難航する場合もあります。取引が中断して、取引再開までに1年以上経過しているようなケースでは、取引を1連取引として計算するか、2個の別の取引として計算するかにより過払い金の金額が大幅に違うこともあるため、なかなか合意に至らないこともあります。

また、アコムは過払い利息を付す必要はない、悪意の受益者ではないというような主張をよくしてきます。これは、民法704条に、「悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない 」という規定があり、善意の受益者は利息を付して不当利得金を返還する必要がないという理屈に基づいた主張です。

しかし、最高裁平成19年7月13日判決において、貸金業者は原則として悪意の受益者と推定され、貸金業者は、みなし弁済の適用があるとの認識を有し、かつ、そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときに限り、その善意の受益者となると判示されました。したがって、その立証がない限りは、アコムも、悪意の受益者として、年5%の利息をつけて過払い金を返還しなければならないということになります。

さらに、仮に悪意の受益者であったとしても、利息はその後の借入金には充当されずに別途計算し、過払い金とは別に時効にかかるというような主張をすることもありました。しかし、この点についても、最高裁平成25年4月11日第一小法廷判決により、「利息の充当につき別段の合意があると評価できるような特段の事情がない限り、まず当該法定利息を新たな借入金債務に充当し、次いで過払金を新たな借入金債務の残額に充当すべきものと解するのが相当である」と判示されたため、今後はこのような点について争うこともないでしょう。

ただし、これらの争点以外にも、さまざまな争点があります。インターネット上では、過払い金の返還は自分でできるというような論調の記事が見受けられますが、安易に請求を行うと、思わぬ反論に会うこともあります。
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アコムに債務が残る場合の債務整理手続きについて

従来、任意整理の手続きを進めるにあたり、和解後の利息のカットは、基本的な内容のひとつでした。債務者の経済的更生のためには、利息のカットが不可欠であるためです。

しかし、最近では、このような将来利息のカットを含む和解を認めない債権者も増えてきました。過払い請求が増加し、経済的に余裕のなくなった債権者は、和解に応じなくなったのです。

しかし、アコムに関しては、基本的には将来利息のカットを含む和解も可能です。借り換え専用ローンなど、商品によっては任意整理に応じられないものもあるようですが、基本的には、和解可能な業者です。

アコム株式会社の会社概要

【アコム株式会社公式HPから引用】


商号 アコム株式会社(ACOM CO., LTD.)
主な事業内容 ローン事業・信用保証事業
包括信用購入あっせん事業(クレジットカード事業)
本社所在地 東京都千代田区丸の内二丁目1番1号 明治安田生命ビル
03-5533-0811(代表)
創業年月日 昭和11年(1936年)4月2日
設立年月日 昭和53年(1978年)10月23日
資本金 638億3,252万円
決算期 3月31日(年1回)
従業員数 1,756名
貸金業者登録番号 関東財務局長(10)第00022号
包括信用購入あっせん業者登録番号 関東(包)第5号
加盟団体 日本貸金業協会
日本消費者金融協会(JCFA)
社団法人 日本クレジット協会
社団法人 日本経済団体連合会
主要取引金融機関 三菱UFJ信託銀行株式会社
普通株式 発行可能株式総数 532,197,400株
発行済株式総数    159,628,280株
株主数 10,686名
上場証券取引所 東京証券取引所(市場第一部)
株主名簿管理人 三菱UFJ信託銀行株式会社
株主総会 6月
会計監査人 有限責任監査法人トーマツ

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