2013年3月12日

過払い金返還請求について

借金は計画的に返済しなければなりません。
しかし、借金をしたのが、貸金業法が改正される以前であれば、現在貸金業者から請求されている債務の残高を減らすことができるかもしれません。なぜかといいますと、貸金業法が改正される以前には、一般的に、利息制限法の上限利率を越える利率での契約が横行していました。利息制限法の上限は超えているけれども、刑事罰の課される出資法の上限利率は超えていない、この利率のことを、グレーゾーン金利と呼びます。なぜグレーなのかといいますと、利息制限法に違反する利率であっても、例外的にこれを有効とする規定が貸金業法43条に規定されていたからです。したがって、完全にブラックな(違法な)金利とはいえないということで、グレーゾーンと呼ばれていたのです。

改正貸金業法は、平成18年12月に成立して、平成22年6月に完全施行されました。アコムやプロミスなどの大手の貸金業者は、完全施行を待たず、契約の金利を引き下げていきました。したがって、契約が平成18年よりも後になってくると、取引期間が長期間であっても、一切グレーゾーン金利の支払いをしていないという場合もあります。
しかし逆に、平成22年ごろの契約であっても、いったん改正貸金業法施行前に契約をすれば、改正後に契約をやり直す義務はありません。したがって、最近でも、改正前の高い金利を支払い続けている場合があります。

利息制限法の上限を超えた利率を支払っていた場合には、貸金業法43条の例外規定が適用される場合を除き、超過部分の利息の支払いは、利息としては取ってはいけない部分の支払いとなりますから、これは、元本部分の支払いがあったものとされます。この理論を用いて、上限超過部分の利息の支払いをすべて債務元本の支払いとして計算のやり直しをすることを、利息制限法による引き直し計算といいます。その引き直し計算を行うことで、債務を減らすことが可能になるというわけです。

そして、最近では一般的になった、過払い金は、上記引き直し計算により、発生します。この元本充当計算を繰り返すことにより、債務元本は少しずつ減少していくことなり、長期間取引をしていれば、元本は計算上消滅してしまいます。それでもさらになされた支払いについては、債務が存在しないのにされた返済ですから、返還請求をすることができます(不当利得返還請求、民法703条)。

過払い金返還請求については、自分でやるよりも、司法書士や弁護士に依頼して行われることが一般的です。これは、消費者金融などは、過払い金の返還請求をうければ、上記貸金業法43条の主張を行ったり、取引の分断による過払い金の一部消滅時効などを主張したりして抵抗するため、裁判上の請求が必要となることも多いからです。裁判になった場合に一般の方がこれに対応することは、相当の負担を感じるでしょうから、ここを専門家に任せて負担軽減を図るのです。

もし自分が、消費者金融や信販会社と古くから取引を行っていて、過払い金が発生している可能性があるとお考えであれば、まずは取引の履歴を取り寄せたうえで、司法書士事務所や法律事務所に出向き、相談してみられてはいががでしょうか。


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