三菱UFJニコスに対する過払い請求の注意点
三菱UFJニコスは、平成20年に株式会社三菱UFJフィナンシャルグループの完全子会社となった、大手信販会社です。クレジットカードには、「MUFGカード」「DCカード」「UFJカード」などがあります。
過払い請求に対する対応はあまり早くはありませんが、経営状態は悪く無いと思われますので、それほど厳しい減額交渉をはありません。しかし、事案によっては、交渉が難航する場合があります。たとえば、取引中にリボ払いと翌月一括払いが混在するようなケースです。
通常、1枚のクレジットカードでのキャッシングについて過払い金を計算する場合、すべての取引を一連計算します。取引中の返済により過払い金が発生したら、その後の借入金に充当して計算するのが、一連計算ということです。すると、取引が継続している間は、消滅時効が進行しないということになります。過払い金が発生しても、借入金に充当されることが予定されているから、その充当合意が権利行使の障害となり、時効が進行しないということになります(消滅時効の起算点を取引終了時とする、最高裁平成21年1月22日判決)。
しかし、ニコスのように、取引中にリボ払いと翌月一括払いが混在するような契約については、翌月一回払いは、貸付けと返済に個別対応関係があるから個別に計算すべき(リボ払いとは別に計算すべき)という主張がされることがあり、この主張が認められれば、一連計算に含まれない部分については、個別に時効消滅するということになってしまいます。
取引履歴の不開示について
三菱UFJニコスへの過払い請求において問題となるのは、取引履歴の一部不開示です。過払い金を計算するためには過去の貸付と返済の履歴が必要です。しかし、過去のすべての明細を保管している方はまれですので、ニコスに過去の取引の開示を求めることになります。しかし、ニコスでは過去の取引の明細を一部廃棄しており、すべて明細は開示されないのです。
履歴が開示されない場合、開示された履歴の冒頭の債務残高をゼロであると仮定して計算するという方法があります。ただし、裁判上、取引の経緯の立証義務は原告にあるとされることもあります。すると債務残高がゼロであることも出来る限り立証していく必要があります。契約書で取引開始の時期を立証したり、通帳の入出金から取引の一部でも立証できれば、冒頭ゼロ計算が認められる可能性が高くなります。
三菱UFJニコスの沿革と会社概要
三菱UFJニコスは、もともと、信販会社大手の日本信販という会社でした。平成17年、日本信販が、「株式会社UFJカード」を吸収合併して「UFJニコス株式会社」に商号変更しました。その後、平成19年には、「株式会社ディーシーカード」と合併し、商号を「三菱UFJニコス株式会社」に変更したのが、現在のニコスです。
【三菱UFJニコス株式会社公式HPから引用】
商号 | 三菱UFJニコス株式会社(Mitsubishi UFJ NICOS Co., Ltd.) |
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主な事業内容 | クレジットカード発行事業 ソリューション事業・プロセッシング事業・ファイナンス事業 コーポレート・ガバナンス 他 |
本社所在地 | 〒101-8960 東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDX |
登記上の本店 | 東京都文京区本郷3-33-5 |
設立年月日 | 1951年6月7日(旧日本信販) 2007年4月1日(三菱UFJニコス) |
貸金業者登録番号 | 関東財務局長(11)第00115号 |
関連会社 | MUニコス・ビジネスサービス株式会社 カードビジネスサービス株式会社 MUニコス・クレジット株式会社 株式会社ペイジェント 株式会社ジェイエムエス PT. U Finance Indonesia |